「おかーさん、あそぼー!」
三歳になる息子がぱたぱたと足元にやってきました。
「ごめんね、おかあさん、ごはんの仕度しなくちゃ」
頭をなでながら言うと、
「じゃ、ひこうきごっこしよ! 連れてってあげる」
ぱたぱたとどこかに行くと、
電車ごっこのように輪になった縄を持って戻ってきました。
「はいはい、じゃあ台所までお願いね」
輪の中に入ると、飛行機は床を蹴り、離陸します。
そして空の旅は台所……とは反対の玄関方面へ。
「あれ? どっち行くの?」
たずねるわたしに、眉を寄せた難しい顔で振り向いて、
「とーきは のーむのためくうこうをかえて、
げんかんまえに ちゃくりくします」
「ええ〜。じゃ、ごはんの仕度はどうするの?」
笑ってたずねると、
「しりません。つぎのしゅっぱつはあそんだあとです」
「あはは、適当〜」
すると真顔になって、
「てきとうじゃありません。
でんしゃのよやくもほてるもどうなっても
いっさいほしょうはしないときやくにあります。
のるまえにちゃんとかくにんしてください」
この子も言うようになったんだなあ。
思わぬ成長ぶりに喜ばしくなりながら……
とりあえず大きなげんこつを頭におとしておきました。