寒々しい面会室の中、記者と囚人が向き合っていた。
「また、ですか?」
記者が訊ねると、
「ああ、もちろん」
笑みを隠し切れずにこたえる。
「どうして人を殺したりなんか……」
「そこに人がいたからさ」
にやりと笑って口にした。
「うそです。そこらじゅうに人はいました。
その人を殺すために、わざわざ用意して、
自分から殺しに行ったんでしょう?」
するとすこし考え……肩をすくめて、
「さあな。殺したかったから殺したんだよ。
それ以外に何がある?」
記者は不規則に動き出す心臓を押さえながら言った。
「今度はきっと……ちゃんと、反省してくださいね」
「反省?」
男がおうむ返しにつぶやく。
「おれは自分の好きなことをやっただけだぜ?
人の好みが矯正できると思うかい?」