おれの部屋、ベッドによりかかって
二人で映画を見ていた。古い外国の映画だ。
画面の中にはヒロインの女性。
あごは二つに割れ、眉毛は力強くのさばり、
かぼそいよりはたくましい体つきだった。
ひゅう〜。
映画の男が口笛を吹き、言う。
『よぉ〜。いい女じゃねえか』
「なにぃ!?」
おれは思わず叫んで立ち上がった。
外人の感覚ではあれがいい女なのか?
それとも、ただ台本通りに読んだだけで、
現実は二の次なのか?
「どうしたの?」
足元から見上げる彼女。
「だって、あれ……」
まてよ。小柄でやわらかくて
笑顔もかわいい彼女でも、
別のだれかから見たら、
ひどい不細工だったりするのかもしれない。
本人がそれを気にしてたら、聞くのは残酷だな。
「いや、なんでもない」
横に座りなおし、その小さな頭を引き寄せた。
「おまえが一番だぜ、かわいこちゃん」