少年は教室の窓辺から外を見ていた。
幾重にも連なる柔らかな曲線が日の光を映してきらきらと輝き、
その姿に目を奪われた。
今までなにを感じることもなかったその風景は
突然異質な実感を伴って瞳に残るようだった。
……きれいだ、と思った。
日に輝き、風にそよぐその景色のひとつひとつが
命のよろこび、そして自分には近づくこともできない、
なにか神聖さを含んだみずみずさにあふれている。
彼は水をしみこませるようにその瞬間を感じていた。
そこへ、無粋な教師の声。
「おーい、そこ。体育の女子ばっかり見てるなよ〜」