会社の友人と多少飲んでの駅までの道。
ひっそりと胡散臭そうな占い屋の看板が立っていた。
酒に気分を良くしていたおれは、
つい冷やかしに金を置き、声をかけた。
「なあ、ここあたるのかい? おれのこれからを占ってくれよ」
するとやたら布の多い服を着た女は、
「いいでしょう」
おれの奥まで見透かすように目を覗き込み、そして目を閉じた。
それからすこしして目を開けると、
「あなたの大きなお札二枚を、そちらの方へ差し上げてください」
そう、言った。
「はあ? なんだそりゃ」
後ろで大爆笑の友人に、多少むっとして、
その占い師に背中を向けて歩き出す。
「なんなんだ、ありゃあ」
まだ笑い続ける友人をひじでつつき。
「これからを占ってくれってのにわけのわからんことを。
……ああ、くそ、金損したと思うと腹立ってくるな」
その目に飛び込んでくる、はではでしいパチンコ屋の看板。
なんかほっとして、おれは友人を誘って言った。
「なあ、気晴らしにちょっと打ってくか」