0737
2006-08-08
二つの最初
 十二月、冷たい風が吹きぬけた日。
灰色の空から白いものがそっと舞い降りてきた。
「わあ、雪!」
 弾む声で少女は空を見上げ、後ろを振り返る。
「今年の初雪だね!」
 すると声をかけられた少女は肩をすくめ、
両手をポケットに入れたまま白く息を漏らして。
「今年の一月六日に降った、あれはなに?」