こどもがいっぺんに殺されたことで、
毎日マスコミ連中が押しかけてくるようになった。
ひっきりなしに鳴る電話、無視をしていても
鳴り続けるチャイム。
買い物に行けば何を買うかまで観察するようについてくる。
「わたしたちのことは気にしないでいただけますか?
ご近所のかたがたのご迷惑にもなりますので」
とうとう耐えかねて言うと、次の日には、
『自分が一番つらいはずなのに周りへの気遣い!』
『ここまで優しい人から奪われた子ども』
そんな記事が載っていた。
――そうじゃない! もうほっといてほしいだけなのに!
相変わらずの人だかりを見ながら、
ガソリンをぶっかけてお供えの火を投げつけてやろうかと
考えている自分に気付いた。