0855
2006-09-08
キャベツ畑の贈り物
 出産のために病院に入っていた妻が、とうとうこどもを産んだ。
 その電話を受けて、ぼくはしばらく寂しい思いをさせた娘
(今はもうおねえちゃんだ)を連れて、妻の元を訪れた。
「わあ! かわいい赤ちゃんだね」
 うそみたいな小さい服に身を包み、
安らかな寝顔を見せている新たな命。
「ほら、どうだい? きみのいもうとだよ」
 足についたタグだけを眺め、すかしていた娘を抱き上げると、
彼女は言った。
「この子、無農薬?」