家に帰ると女房がニュースを見ていた。
冷めた食事を口に入れながらテレビに目を移すと、
世間では大きな出来事らしく、やっているのは政治の話だけ。
しばらくそのまま食べていたもののがまんできず、
「なあ、食事時にやめてくれないか?」
おれが言うと女房は、
「いいじゃない、見てるんだから」
そこでおれは部屋に持って行って侘しく食うことにした。
次の日、休日を利用してビデオを編集したおれは、
温かな昼飯をかきこむとさっそくそれを再生する。
「何のビデオ?」
「我が屋の犬の散歩風景」
ただし、排便シーンのみを集めたものだが。
「ちょっ……! やめてよ、食事どきに」
「いいだろ、見てるんだから」
応えると女房は叫んだ。
「ふざけないでよ! どこの世界に食事時、
糞便たれながすのを見せる人がいるの!」
だからおれは言ってやった。
「おまえが昨日おれにやったことだぞ?」