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歌の分類解説
★ローソク出せ歌の3分類について

ローソク出せの歌には大きく分けて3種類の出だしがあります。
便宜上、このサイトではABCで分けています。

それぞれの出だしは以下です。
 A系 ローソク出せ
 B系 竹に短冊
 C系 今年豊年


★B系とC系の歌詞のゆらぎについて

B系とC系では、歌の中に不安定発語があります。
発音が安定していないため、地域でなく個人の内で
意味が変化してしまう単語です。

たとえば、B系、C系の基本系での2フレーズめ。

例)竹に短冊(今年ゃ豊年)たなばた祭り
  ○○○○○○○
  ローソク一本ちょうだいな

『○○○○○○○』の部分が
『たなばた祭り』と関わると考えた人は、
ここを『大いに祝おう』と歌います。
『大いに祝おう、たなばたまつり』という意味になるわけです。

一方、
『○○○○○○○』の部分が
『ローソク一本』と関わると考えた人は、
ここを『多いは嫌よ』と歌います。
『多いのは嫌なので一本だけちょうだい』と解釈されます。

また
『○○○○○○○』の部分がどこにも関係ないと
考えた人は、ここをただの掛け声として、
『おーいやいやよ』と歌います。

このサイトでは、これらすべては同じ文言で、
発音のみ異なるものであると考え、
別の種類とは みなしていません。

ただし個人内以上に、地域差が大きい可能性もあります。
お住まいの地域ではこう歌った、などの情報をお教えください。


★各系統の数字・記号について

各系統の中、数字1・2・3や小文字a・bなどの分類は、
各系統の歌で基本にするものを決め、
それをフレーズごとにわけて
頭から順序数を振っています。

この記号分類はA系統(ローソク出せ系)で
特に意味をもちます。

たとえば、A系の基本は、

 ローソク出せ出せよ
 出さないとかっちゃくぞ
 おまけに食いつくぞ

と設定しています。

そのフレーズが基本どおりであれば、
数字につくアルファベットはa。
フレーズが基本と異なれば、
b以下を順々にふっています。
つまり、基本となる文言は、
1a-2a-3a など、順序数がその順序に並び、
補助記号はすべてaになります。

 ローソク出せ出せよ
 出さないとかっちゃくぞ
 おまけに食いつくぞ

※『かっちゃく』……小さいものが、ちょっと引っかく
 というような意味

は、基本としているために、
1フレーズ目は基本形。=1a
2フレーズ目も基本形。=2a
3フレーズ目も基本形。=3a
となります。

基本からずれて、
 ローソク出せ出せよ
 おまけに食いつくぞ
 出さないとかっちゃくぞ
という並びになった場合は、
2フレーズ目が基本形、3フレーズ目が基本形ですが
並びが異なっているため、
A(1a-3a-2a)とあらわします。

またたとえば、
 ローソク出せ出せよ
 出さないとひっかくぞ
 おまけにかみつくぞ
など、単語自体が変わった場合は
基本形でないのでフレーズ記号はa以外になります。
ここではbをあて、
A(1a-2b-3b)という分類にしています。

αやβはごく少数の、特殊フレーズと
思われるものについています。
簡単に言えば、『おまけ』フレーズです。

おまけがついている歌では、
そのおまけをつけて歌っていた理由が
「近所の人に言われたから」や、
「新しく来た人に言われたから」など
外部からのささいなことが影響したように聞きました。

その他でも、最初はA系で歌っていたものの、
引っ越して来た人に言われて
いつしかB系で歌うようになっていた、など
人の流動などで文化も変わっていくさまがうかがえます。