ある日の休日。
病院の一角で、中年男性を含む
数人が布おむつをたたんでいた。
「たいへんですねえ、せっかくのお休みに」
中年の女性達が声をかけると、
「いえいえ。普段息子がお世話になっているのに、
こんなときしかお手伝いできませんからね」
ときどきはじける静電気に顔をゆがめながらも、
几帳面に布をたたんでいく。
と、突然騒がしくなる廊下。
「なにかあったんでしょうかね?」
ドアを開け顔を出すと、
小走りにどこかへ向かう白衣の女性に訊ねた。
すると彼女は答えて、
「なんでも有名人がだれかのお見舞いに
来てるらしいですよ。ボランティアで」
ボランティア!
その言葉を聞いて、部屋に戻った彼は布を握り締め……
投げつけようとする手を押さえ、
きれいにしわを伸ばしてたたむのだった。