0063
2006-01-19
自由主義
 残業を終えた帰り道の電車。
腰くらいの背の子ども二人が疲れた顔で立っていた。

 そのうちの一人がふと口を開く。
「なあ、日本って自由主義だろ?」
 もうひとりが応える。
「ま、一応ね」

「なのになんで無理やり塾にいかされなきゃなんないんだ?」
 不満気な言葉にあきれたような顔をして、
「なあ、食っちゃだめな食い物なんてないよな?」
 突然の話題に、きょとんとした顔をする相手。
「ん? そりゃそうだ」
「でも、どれ食ったって自由だけど、
金を払う必要はあるだろ?」
「もちろん」
「つまりは資本主義の自由なんて、
金のあるやつだけの特権さ」