「今度の休み、出勤してくれないか?」
課長が言った。
「謹んで……お断りします」
おれが言うと、むっとした顔をする。
「おまえはいつも残業減らせだの、
人数を増やせだの言うが、
会社の状況がわかってるのか?」
「平社員ごときに情報を公表した記憶はありますか?」
さらに不愉快な顔になり、
「十分な人数を増やすなり残業費を増やすなりすれば、
会社の存続すら危なくなるくらいわかるだろう?
ほかのやつらはすすんで残業も休出もしてるってのに」
「すすんで?」
思わず聞き返す。
「平社員にとって、自分がつぶれて会社が生き残るのと、
会社がつぶれて自分が生き残るのと、
どちらがましだと思います、課長さま?」