不況のあおり、そして近くに
大きなスーパーができたことで、
うちの売り上げは地に落ちた。
爺さんの代から続いていた八百屋だ、
つぶしたくなくてできることはなんでもした。
あちこちに頭を下げ、金策に走り。
営業時間に対抗するために
夜遅くまで店を開けておきもした。
だがすべてはゴミとおんなじ。
売り上げの下落が止まることはなく、
自分も体を壊し、店はつぶれた。
病院に入る金もなく、
自宅で無為に寝込むだけの日々。
ある日、女房が持ってきた手紙を開けたとき、
勝手に涙があふれ出た。
その一文――
『貴殿にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます』