ビーーーー!
真夜中すぎ、窓の下で突然の轟音。
わが愛車の叫び声だ。
あわてて窓を開け、身を乗り出すと。
手にバールのようなものを持った
中学生ぐらいのガキと目が合った。
どうやらあれで車のガラスを割ったらしい。
おれに気がつくと、
そいつは座席の横においてある高速用の金を
引っつかんで逃げ出した。
その日からおれの犯人探しがはじまった。
毎日時間を見つけては、駅の出口で人の顔を眺める。
それを一か月近く続け、ようやく忘れられない顔を見つけた。
「よう」
真後ろに近づいて声をかけると、
振り向いたそいつは一瞬まぬけな顔をし、
それから見る間に顔をこわばらせて逃げ出そうとした。
その肩をつかんで地面に引き倒す。
馬乗りになりこぶしを振り上げると、そいつは叫んだ。
「なんだよ、たかが小銭とっただけじゃねえか!」
おれは顔面めがけて振り下ろしながら叫んだ。
「ガラス代がいくらしたと思ってんだ!」