0097
2006-02-01
より重いもの
いいところのお嬢さんを、
うちに三日ほど預かることになった。
向こうの親御さんは、
一人娘の彼女をそれはそれは下に置かないほど
かわいがっているという。
うちはそれほど裕福ではないが、
せめてうちにいる間に不便はしないようにと
精一杯のもてなしをする。
そして食事時。
うちなりの心づくしの料理の前に
彼女と並び、席に着き。
見守っていると、彼女はすこしとまどったように
周りを見、箸を手に取り料理に伸ばした。
すると、
「どうしましょう」
料理をつかんだまま動かない箸。
「もちあがりませんわ」