「ねえ、お父さん、ガンってなーに?」
ある日、娘が聞いた。
癌か……。おれは苦い思い出を噛み締める。
「いいかい、人の体は
たくさんの細胞というものでできていて、
それぞれがお互い助け合うことで
人は健康でいられるんだ。
ところが、それを無視する悪いやつが出てくると、
数の統制もとれずにどんどん増え続けてしまう。
そして、増えたものが周りのものをおかしくし、
食いつぶして、ひどくなると……
住んでる人まで殺してしまうんだよ」
お母さんがそうだったようにね……。
すると、娘は言った。
「じゃあ、人間って地球のガンだね」