0099
2006-02-01
猿知恵
 年々悪化する労働環境に、
週の残業を二日以内におさえること、
という法律が施行された。

 これで家族のいる者は、
一家団欒の時間がより長く持てるようになると、
一部の人間たちは自画自賛した。

 一方、ある会社では。
「さて、残業を規制する法律ができたのは
諸君らもごぞんじのことと思う。
だが、法律のとおりにしていたら、
わが社の経営自体も危うくなる」
 集会で社長が述べた。
「そこで、申し訳ないが。
残業をつけるのは週に二日までとなるが、
今までどおり働いて欲しい」