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2006-02-08
ゴミの意地
 過疎化が進むひなびた町。
このままではただ廃れて行ってしまうと、
議員先生をもてなして道路の一本、
新幹線の一本でも町そばを通るように
してもらうように町をあげて計画した。

 そして今は先生お望みの釣りに
おれが付き合うことになった。
「おっと」
 昼飯時。町のみんなで用意した弁当のサンドイッチが
議員先生の手から落ちた。
「お、見てみろ。まるでこの国みたいじゃないか」
 吸っていなくともヤニくさい息を撒き散らして言う。
「きつい・きたない・きけん、だったか。
うちらからしたらゴミのような仕事しかできない連中みたいに
下の方が汚れちまった。
『国家サンド』なんつって売り出したら一商売できないかな」
 自分で言って満足げに笑う男。

 おれたちがどんな思いをしてこれを用意したと思うんだ。
それを落としておいて、そんなことしか言えないのか?
「それなら……こうでしょう」
 おれは落ちたサンドイッチを拾うと、
ひっくり返して地面に落とした。
「上は物欲と権力と不正にまみれて汚れ。
下は低い賃金、厳しい労働条件で汚れ。
……でも、残念ながら共通するところがあります。
わかりますか?」

 答えはいらなかった。
あいつがなにか言うところなど聞きたくなかった。
「それは、どちらもこの国を支えてるってことです」
 おれは悲しいサンドイッチを拾い、口に入れた。