まだ手のかかるこどもを夫に預けて、
ひさしぶりに友達と旅行。
昼間っから温泉に入り、
ゆったりと夕食を食べ、まったりと寝そべって
テレビを流しながら無為な時間を楽しんだ。
「あ〜、こんなの久しぶり〜」
寝てしまいそうになりながら、
なんの心配もない自由を噛み締めていると、
「ちょっと見ない間にずいぶんやつれたもんね」
軽い口調で友達が言った。
「え〜、やっぱり?」
思わず顔をさする。
最近ずいぶん老け込んだ気がする。
なのに、友達は……
「いいね、独身でいい仕事もして。
なんかずいぶん生き生きとしてる」
わたしの言葉に彼女は驚いた顔をし、
あきれたように笑った。
「なに言ってるの。納得して結婚したんでしょ?
周りを見たってしかたがないよ」
ああ、すごい……。
心にも余裕があって、自信にあふれてる。
こどものことでいちいちあたふたして
泣きそうなわたしとは違うんだ。
何も言えなくなってテレビに目を映すと、
高そうなケーキを作っているところが映っていた。
スポンジはふっくら、
チョコクリームにくだもの。
上には周りにはみ出しながらチョコをたっぷり。
仕上げに飛び散らせながら粉砂糖をばさばさ。
「うわ〜」
二人で同時につぶやいた。
「「もったいない」「おいしそう」」