0182
2006-02-24
訓示
 会社のトップあたりが不祥事を起こし、
頭の挿げ替えが行われた次の月曜。
社員を集めての集会が行われた。

 新しい社長が言う。
「承知のとおり、わが社の信頼は地に落ちた。
ひとりひとりが社の信頼を取り戻すには
どうしたらいいか自分で考え、
積極的に行動するようにしてほしい」
「では、お言葉ですが」
 隣の男が手をあげる。

「われわれは与えられた仕事を着実にこなすだけで、
不正はできそうにありません。
不祥事を起こせるようなところにいるお歴々にこそ
お話されたほうが良いと思いますが」

 社の信頼を取り戻すにはどうしたらいいか自分で考え、
積極的に行動した男だったが、
そいつを社内で見る事は二度となかった。