「あ、そういえばね、昔うちでニワトリを飼ってたんだけど」
晩ごはんの席でおかあさんが言った。
「食べるからしめるように言われて、
包丁で首を落としたら……すごい力で暴れてね。
首から血を流したまま走り回ったんだよ。
首がないのにココココ鳴いて」
「ええ〜。なんで鳴くの?」
「さあ? 腐っても鯛と言うか、首なくても鶏って言うか。
でも家の中にまで上がってそこらへんぶつかるから
壁にも床にも血がついて。何度拭いても一週間くらいは
ずーっと家中血なまぐさくて大変だったよ」
首のないニワトリが駆け回ってあたり一面血の海……。
考えると気持ち悪くなってきた。
「ごはんのときにやめてよ、もう。
どこの『そう言えば』で出てくる話なのよ」
するとおかあさんは。
「リストラ」