「ねー、おねえちゃん」
いとこのこどもがぽてぽてやってきて、
「てぶくろを逆から言うと、なーんだ?」
にこにこの裏に黒い企みを込めて訊ねた。
なつかしい。小学校のころか、一時はやったなあ。
「うーん……てぶくろ、なんだから……」
もったいぶって考えるふり。
「ろ・く・ぶ・く?」
「違うよ〜」
きゅっと口を尖らせる。
「あれ? あ、『く』が二つになっちゃった。
じゃあ、うーん、くろてぶ?」
「ちがうよ〜」
いらいらとあしぶみ。
「ええ? 本当? てぶくろ、だから……くぶろて」
「もー! ろくぶてだよ〜」
そこでその子の腕を取り、
「はい、一、二、三、四、五、六」
ぺちぺちとかわいい腕をぶった。
驚きと悔しさが入り混じる顔。
「も〜!」
「ふふふ、おととい おいでなさい」
ふくれてぷりぷりと走って行った。
「……おとなげない人がいる……」
ふとした声に振り向くと、いとこがわたしを見つめていた。