友達のうちに遊びに行くと、
隅の棚の上に写真の束が置いてあった。
「なにこれ?」
訊ねると、
「学校の新入生歓迎会で食べに行ったときの。
昨日届いたんだけど、わたしもまだ見てないや」
「見ていい?」
ふたり床に座って、写真をめくってみることにする。
「これ、お店ね」
一枚目を見ると、横から解説。入る前、お店の写真。
「で、みんなで撮ったところ」
フラッシュで飛んでしまっているけれど、
楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
「写真、他の人も撮ってたの?」
「ううん。わたしだけ」
「へえ〜」
どれもこれも気を利かせた彼女らしい写真。
こういうなんでもない写真の方が意外と心に残るんだ。
でも……。
最後まで見て行って、消えない疑問を口にする。
「ねえ、自分の写真は?」
「……え?」