0282
2006-03-27
逆転の構図
 とある会社の面接に、
取り立てて変わったところもない男がやってきた。
 促されるままに席に座ると、男は口を開く。
「これを言うのも心苦しいのですが、
言わないわけにもいきません」
 そして軽くためらう様子を見せると、顔をあげ、
「わたしは、差別地域出身の人間です」
 面接官に向かって口にした。
 男はさらに続ける。
「今までそれで何度も面接や面接にもかからずに
落とされてきました。もし採用しないおつもりなら、
この会社は人を生まれで判断して
落とすようなところだと大々的に宣伝しますのでご了承ください」