一緒に昼飯を食っていたときのこと、
食堂の上の隅に流れるニュースを見ていた同僚が
ため息といっしょにこぼした。
「あ〜あ、うちも成果主義にならないかな」
「なってどうなる?」
おれが訊ねると、意外そうな顔が帰ってくる。
「なんだよ、このままでいいのか?」
「そりゃよくないけどさ。課長を見てくれ。あれをどう思う?」
「能無し?」
「おれたちを評価するのは、あれだぞ?
いままでどういう評価された?」
「おれたちはただのゴミ。仕事を成功させたのは全部自分」
「……だろ?」
二人ふかくため息をつき、そしておれは言葉をつないだ。
「でもな、一人だけ評価されるのはいるし、
たぶん将来は課長になるのがいる」
「だれだよ」
「いるだろ、別の能無し」
「ああ、あいつか。自分じゃなにもしないくせに、
ただ上にへつらって、人の仕事のうわまえを跳ねるようなやつな」
「そういう奴の方が上の覚えもいいし、
そうやって代々能無しがのさばってきたんだろうな」
「なんか……くだらない連鎖だな」
同僚はそう言って、手にした箸を置いた。
「なんだ、食わないのか?」
「なんか食欲も失せたよ」
おれは自分のどんぶりを持ち、中身を思いっきりかきこむ。
「これがおれたちの成果主義。でも、やるしかないだろう?」
伝票を手に取り、すこしだけ気をいれた。