0315
2006-04-06
無駄に
 彼と待ち合わせをしていたら、
時間に遅れた彼が軽くせきこみながらやってきた。
「カゼ?」
 訊ねると、
「ちょっとノドに来て」
 だれかわからないような声で言う。
「声おかしいね」
 すると口の端でにやりと笑って、
「おかしいのがノドだけだと思うなよ」
 渋い声で言いながら脂汗のにじむおでこをぬぐった。