0386
2006-04-24
健康になる食品
 友達と忘年会で食事しに行くと、牡蠣が出てきた。
「わあ〜」
 と、嬉しそうな声を上げる友達たち。
「わたしいらないから好きにしていいよ」
 わたしが言うと、
「ええ〜、栄養指導なんかするくせに、好き嫌いしていいの?」
 からかうように訊かれた。
「今のところ、牡蠣だけはわたしが唯一嫌いな食べ物なのよ。
実物見るのはもちろん、においをかいでも写真を見ても、
なんだか気持ち悪くなるから、
たぶんわたしの体に合わないんだと思う」
「他の人がそう言ってたらどうするの?」
「そんなの、食べても食べなくてもいいものは
好きにすればいいって言う。
実際わたしは牡蠣なんか食べなくても健康でいるし、
もし亜鉛がたりないとしたら、自分がおいしく食べられる
レバニラ炒めでも食べるよ」
「そんなんでいいの?」
 がっかりした顔の友達に、
「世の中に魔法の杖なんてないよ。
じゃあ、世の中には『これを食べれば健康!』なんて謳う、
うさんくさいのもたくさんあるけど。
栄養士も認める健康食品ってなんだと思う?」
「え、なに、なに?」
 取って返したような興味のある目。
「それぞれ違う栄養素を含んだたくさんの種類の食品。
それを偏らずに毎日少量でも
バランスよくとっていくことに勝るものなんて、
今のところどこにもないのよ」
 並ぶ呆れ顔を前に、わたしは手元のお酒をちびりとすすった。