ふと様子を見に鳥舎に行くと、娘が樋の餌を止めていた。
「おい、なにやってるんだ」
驚いて訊ねると、
「食べたくもないものを無理やり詰め込めと言われて、
どういう気分だと思う?
世界にはこんなに食材があるのに。
どうしてこの一つだけを食べなきゃいけないの?
しかも嫌いなものを、食べるまで残らされるなんて。そ
んなことして嫌いなものが
食べられるようになるわけないじゃない。
嫌な記憶と結びついていっそう嫌いになるだけだよ。
栄養とは食べ物を入れて出すまでに関わる
全部のものを言うんだよ。
ただ食べればいいだけじゃない。
楽しく食べること、心の栄養を取ることをしなければ、
ただ口に入れる食事なんて食用動物のエサと変わらない。
……って、今日だけ学校に来た人が言ってた」
「なんだ、なんかあったのか?」
すると娘はうつむいて。
「わたし、ほんとは給食嫌い」