0398
2006-04-27
時限爆弾
 星がだんだん病んで行くのを憂いた男が一計を案じ、
テロ組織の名を語って各国々のお偉いに手紙を送った。
『寒い国は危険な時限爆弾を持っている。
時が来れば病原菌が世界にまきちらされるだろう』
 同封した地図には永久凍土を示し、
そこに関心が集まればきっと溶けるのを
防ぐようになるはずだとかれは思った。

 彼の思惑を超えて、世界の国々はそこに関心を持ったが、
一番の興味は新しい兵器、強力な病原菌だった。
 そして長い長い間凍り続けていた土は、
自然に溶けるよりも早く全部溶かされてしまった。