「もうやだ、もう勉強やだよ。
どんなにがんばっても覚えられないもん。
受験はもっと簡単なところでいいでしょ?」
つかれきった顔の女の子が母親に言うと、その母親はこたえた。
「なに言ってるの。やればできるから。もっとがんばりなさい」
そしてある日、母親は病院を訪れて医者に言った。
「先生……、娘のせいだとは思うんですけど、
毎日勉強やだやだって言うから、
そのたびにちゃんとがんばりなさいって励まし続けてたら、
なんだかわたしのほうが調子悪くなってきたみたいです」
「そうか、それはいけないね」
その医者は応えて言った。
「なら、調子良くなりなさい」