かけがえのない自分になりたい、
わたしがいなければだめなくらい存在の大きな人になりたい。
……そんなふうに考えていた時期がわたしにもありました。
会社では、どんなにしたって歯車の一部。
わたしがいてもいなくても仕事はなにくわず流れていく。
学校のときは親のお金だし、
自分で授業に出なければどんどん置いていかれるしで、
不調を押しても出てたけど。
会社はつねに同じ仕事。出たらお金が増えるだけ、
休めばお金が引かれるだけ。
出るも休むも自分の責任、お金の増減。
――ああ、かけかえのある存在って嬉しい!
だからわたしは悪びれることなく電話をかける。
「すみません、具合悪くて……。今日は会社を休みます」