0459
2006-05-24
口先
「あ〜あ〜、やだなあ」
 机にもたれかかりながら職場の子がもらした。
「お客だとは言え、変な因縁ふっかけてきたのは向こうなのに、
なんであたしが謝らなきゃいけないんだろ」
 受話器のコードを指でくるくるまわし、
「あんなのに謝るくらいなら、死んだほうがまし」
「そう? そんなので死ぬくらいなら、
わたしは謝るほうがましだけどなあ」
 わたしが言うと、
「まあ、そりゃそうけどさ」
 ため息まじりに笑った。