朝、駅への道。いつものように二人並んで小さな川沿いの道を歩く。
水は太陽の光を受けてきらきらと輝き、その下に川底を映していた。
「なんか今日はいちだんときれいだな」
ふと口にすると、
「えぇ? やだ、なに言ってんの?」
あわてたような声。
ふりむくと、
「今までそんなの言ったことなかったのに。
頭でも打ったんじゃないの?」
照れたような、困ったような、
それでもまんざらでもないような顔で、
くすぐったそうに制服のすそを翻している。
いつも見てる川の変化に気づかずに自分のことだと思うなんて、
どんなお幸せな精神してるんだ。
そう思ったが、波風立てるものでもないと思って口をつぐんだ。