0533
2006-06-12
都合よく
 別れよう、と彼女が言った。
「どうして」
 訊ねると、
「ごめんね。あなたよりもっと大事な人ができたんだ」
「おれの……知ってるやつか?」
 首を振り、
「ごめん、言えない」
「そっか」
 悲しさよりも、ただむなしさだけがつのっていく。
「でも」
 彼女は言った。
「こうして別れるけど、嫌いあってのことじゃない。
このあとも……ずっと、いい友達でいられたらいいよね」