0539
2006-06-13
タイプA
 今日もきょうとて書類の整理。
 ばりばりと書類の内容をパソコンに打ち込んでいると、
隣の中年男性。
「なあ、そんなに急いで仕事やってどうするんだよ。
民間じゃあるまいし、仕事の量はだいたい決まってるんだ。
一日でやる分量を小分けにして平均に終わらせるようにしないと、
みんなが迷惑するんだよ」
「と言われても……。やればやるだけ仕事はありますし」
「それに毎日つけてるみたいだけど、なんなんだ、そのメモ」
「これは、自分が一時間でどれだけいけるかの
限界を計っているだけです。そして一日の合計の記録を
塗り替えようとしているだけですよ」
「これ見よがしに忙そうにして、なにがしたいんだよ。
おれたちがやってないと比べるつもりなのか?」
「はい? 他人がどうだろうと関係ないです。
わたしは、かつてのわたしを超えようとしてるだけ。
今日はどこまでできるか、わかったほうが
楽しいじゃありませんか」
「たのしい?」
「そうですよ」
「自分で自分を追い詰めてるようなのの、どこが楽しいんだ?」
「どこがって言われても……。走るときは全力疾走。
そういう性分です」
「じゃあ、いつ止まるんだ?」
「そうですねえ」
 わたしは考え、
「たぶん、心臓が破れたら」