0543
2006-06-13
やつあたり
ぼろぼろの衣服をまとい、目の下を大きな隈で彩った男が
山の頂へと登り、嘆いた。
「竜巻で家が壊れた、洪水で田畑がやられた、
病で最愛の人が死んだ! これはなんとしたことだ!」
怒りをぶつける相手もいない。
わかちあってくれる人ももはやいない。
だが、そのやりばのない憤りをどこかへぶつけたかった。
そこで彼は考え――
「『神』よ! どうしてこんなことを!」
上から来る人知を超えた力。
それをもじってカミと名づけ、なじった。