「ねー、おとうさん、カッパ出して〜」
ある夏の日、息子が駆け寄って来て言った。
「いいけど、こんなの着てたら蒸れるぞ」
「うん! 冬は寒いんだよね」
引っ張り出した雨ガッパを嬉しそうに受け取ると、
「あと、なんか布ないの?」
「布? タオルでいい?」
「だめー。もっと布っぽいの」
そこで確かそこらへんで見かけた端切れを探して渡すと、
さっそくそれを首に巻き、雨ガッパを着こんで得意げな顔をした。
「ははは、そんな蒸し暑いのを着て、
首に布っきれなんか巻いて、なんのまねだ?」
すると息子は。
「おとうさん」