体育の時間のドッヂボール。
うちのチームが全滅で終わったと思ったら、
最後に一人残っているやつがいた。
周りが気づいてからも避け続けたままお開きになって。
おれは教室へ戻りながら声をかけた。
「なあ、おまえさあ、結構存在感ないよな」
「んなこたぁ〜、ない。おれだって存在感を示すときはあるさ。
でも嫌がられるから気配を消してるんだ」
「うそだろ」
するとにやりと笑って、
「どうだかな」
それから教室へ入る前に別れて、おれはトイレへ。
放尿しようとしていると、がらがらなのに
後ろに並ぶ気配がした。後ろでもさもさ動く影と咳払い。
……すげえプレッシャーだ。
尿路に弁ができてるみたいに出てこない。
それでもがんばろうとしていると、後ろから声。
「どうした、早く出したまえ」
その声……。
「なんだ、おまえか。やめろよ、尿が出ないだろ」
あいつは満足そうにうなづいて言った。
「ははは、思い知ったろ。おれの存在感を」