「わあ〜、良く描けたね」
こどもの描いた絵に母親は大変喜び、
それを見てこどもは思った。
――わたしが絵を描くとおかあさんは笑うんだ。
もっと笑ってもらおう。
そうして描き続けた結果、
少女はいつしか著名な絵描きになった。
「おまたせいたしました」
鳴った瞬間に電話を取った、コールセンターの女性は言い、
それを聞いて電話をかけてきた男性は思った。
――そうか、おれは待たされたんだ。待たせるなんて許せない。
「お電話ありがとうございます」
続く女性の言葉を聞いて、男性は思った。
――そうか。ただ苦情を言いにかけたのでも、
こいつらは電話を受けるのがありがたいんだな。
おれは電話をかけてやってるんだ。
そうして電話をかけ続けた結果、
男はいつしか有名なクレーマーになった。