「ねえ、聞いて〜」
家に帰ると、妻が寄ってきて口を開いた。
「なんだい?」
「お隣、休み前に冷蔵庫の修理頼んで、
ようやく今日修理来たんだって。それでいろいろ
部品交換したのに、ただになったらしいよ。いいよねえ」
うらましそうなため息に。
「あ〜」
思わず声が漏れた。
「あ〜、ってなに?」
「なんでただになったと思ってる?」
「え? 遅くなったから?」
知りたそうな顔をする妻に首を振って部屋へ向かう。
まさか、『回収するほどでもないくらいの欠陥パーツで、
積極的に回収すると信頼も金も失うものを、
なにかの機会があったときにただで交換する、
いわゆるついで修理品だ』とも言えず。
どこの会社も似たようなものかと後ろめたさを噛み締めてみた。