会社ではゴミの分別がとにかく大変だ。
燃えるゴミ、燃やせるゴミ、可燃物、サーマルリサイクル……。
可燃物と燃やせるゴミと何が違うのかとか、
サーマルリサイクルは燃えるゴミじゃだめなのかとか。
なにがどうなってそういう分別をしてるのかも
とにかく不透明だった。
しかし分けなければ建物の管理者か何かからお叱りが来るらしい。
そこで、昼休み終わりのゴミ箱の前には、
手にしたゴミをどこに入れればいいかと、
投入口の前で並ぶ人の列ができていたほどだ。
と、ある日。
昼食のゴミを捨てようとすると、
ゴミ箱の前の人だかりがいつもとは違う雰囲気でざわめいていた。
「どうしたんです?」
訊ねたら、
「ほら、あれ……」
指が示すゴミ箱。
今までは無骨な金属の箱だったものが、
中の見える透明な箱になっている。
「ああ、なんだかさっぱりしていて、いいですね」
言いながらゴミをどこに入れようかと目で探っていると、
気付いた。
入れ口はいくつもあるのに、中は一つだったということに。