0655
2006-07-13
わたしのゆめ
 高校生になってもろくに勉強もせず遊んでばかりの娘。
あんまりお気楽なのが心配になって訊いてみた。
「ねえ、高校生にもなれば夢に向かってがんばるとか
将来のためになにかするとか、そういうのはないの?」
 すると軽く眉を寄せ、
「なーに言ってるの? あたしにだって夢くらいあるよ」
 初耳。こんな娘に秘めた夢があったなんて。
「え、なんなの?」
 得意げな笑顔。
「あたしが歩いてると、だれかお金持ちが
ジュラルミンケースを目の前に落としたまま行っちゃうわけ。
それをあたしが拾って警察に届けたら、
中身はいっぱいのダイヤモンド! 落とした人から一割もらって
一生働かずに幸せに暮らすんだ〜」
 思わずわたしはつぶやいた。
「あんた、いろいろだめだ」