0656
2006-07-13
窮まり
 ある国で、ひどい被害を出した戦争が終わった。
 働き盛りの男たちが多数死に、国が立ち直るまでは
かなりの年月を要すると思われた。
「戦争は終わったが、わが国の人死には甚大だ。
この戦争は失策だったのではないか?」
 国のお偉いが戦争を勧めた者に訊ねると、彼は誇らしく答える。
「いいえ。たしかに人は死にましたが、立派に意味はありました」
「意味とは?」
 いぶかしげな顔。
「少子化対策です。出生率は相変わらず変わりませんが、
大人が減ったので少子化は止まりましたよ」