0670
2006-07-18
心より
空いっぱいに星が降るという夏の夜。
彼女を誘って広い原っぱに行った。
とりあえず虫除けをかけて見上げていると、
流れる星のひとつふたつ。
「そうそう。流れ星が流れきる前に三度願いを唱える……なんて、
どうがんばったって無理だよな」
見れば、振った話も耳に入らない様子で
空をにらみつけながら何かをつぶやく彼女。
――まさか、星を呼び寄せる呪文でも唱えてるのか?
そばに耳を寄せると、すごい速さで繰り返していた言葉。
「金金金カネカネカネカネ……」