0681
2006-07-21
それが上司の歩む道
 地雷を処理せよ、と上官が言いました。
 まっすぐ続く細い道。横は底なし沼で通れません。
「この道に地雷がある。なに、踏んでもだいじょうぶだ。
踏み込んだら起爆装置が起動するが、
足を上げない限りは爆発しない」
 そしてなぜかわたしから靴をとりあげて、
素足で道に立たせます。
顔には目隠し。横に落ちないためには
足で道を探さなくてはいけません。

「ほら、進め」
 わたしの背中を小突き、
進むわたしの後ろから上官たちはついてくるようです。
 悲しさに唇を噛み、足を進めます。
 ――ガチリ。
 足元がへこみ、機械的な音。
 ああ、これが……。もう足はあげられません。
 だれか、助け――
 どん。
 爆発。わたしの肉が飛び散り、爆弾の破片が体に刺さります。
「ばかが!」
 後ろで吐き捨てるような声。
「踏んだら爆発するって言っただろう」
「なに踏んでんだ」
「火の粉がこっちにまで降ってきやがった」
 意識はほとんどなかったけれど、わたしはすこし、
泣いたのでした。