0688
2006-07-23
限定勇者
 一人の少年が、自ら命を絶った。
 彼が自分の葬送が行われるのをぼんやりと見ていると、
参列者の一人が言う。
「なんで死んじゃったの? 
死ぬだけの勇気があればなんだってできたのに」
「……わかってないな」
 彼はつぶやいた。
「ほんとに勇気があるなら、はじめっからその原因を断ってるよ。
死ぬだけの勇気しかなかったから、死んだんだ」