「これじゃだめだ」
と、おれの設計図を見た先輩は言った。
「どうしてです? 他の人のも見て、
問題に思った部分にはコストを抑えながらも
改良を入れたつもりです」
すると、
「それがだめなんだ」
くるくると丸めてバトンのようにおれに差し出す。
「いいか? でかい機械なんて一度売ったらそれっきり。
メンテナンスは儲けが出ない場所だし、
金になると言えば消耗品だけ。あとは、だ」
受け取ったおれに声をひそめ、
「大事なのは他社と同じくらい、
でも一日でも一週間でも長く持ち、
寿命と思わせながら壊れる匙加減なんだよ」
……なんなんだ、それ。製造業がそんなあこぎなことを
許されていいものなのか。
あまりに腹が立ったのでその日から別の会社へ就職口を探し、
ようやくこぎつけた面接。そのことをぶちまけると、
面接官は言った。
「――どうもすみません」