0724
2006-08-03
無職スパイラル
「ここに一生つつましく暮らしていけるだけの
財宝が入った缶がある。これをお前にやってもいい」
 それは、おれに言った。
 天使だ!
 食べるものにも事欠き、飢えるだけだが
正直に生きてきたおれに、ようやく救いがきたんだ。
 伸ばした手で缶を引っつかみ、離さないように抱きしめる。
 この中に幸せがある。おれの世界がとうとう変わる!
 震える指先で開ける場所を探していると、奴は言った。
「でもな、それを開けるにはこの高価な缶切りが必要なんだ」