天才とそれ以外の者との差。
ぶしつけな友人のように、
それはある日突然やってくるものらしい。
「わたしはあなたの絵、好き」
古いアパート、絵の具のにおいのこもった部屋で彼女が言う。
「そうか?」
おれは自分の絵を見る。
「どうやったらこういうのを描けるの?」
「んー」
ある日、『これが描きたい!』と。そんな閃きが来て
どうしてそう描けるのかすらわからないものを描く天才。
自分で描けそうなもの、描いたら周りも見てくれそうだと
いうものを毎日探し、これなら売れそうだと閃いたら描くおれ。
ため息混じりにおれはこぼした。
「閃きを、むかえに行くんだ、自分で」